焼却炉から考える放射性廃棄物処理問題の未来

放射性廃棄物の処理は最終処分場や中間貯蔵施設、管理型処分場の建設地問題で大きな進展が見られない。現実的な手法はないか検討しています。

減容化事業の入札結果や運用情報 | 隠される真実

 

12月10日(木)に入札されたはずの開閉所農林業系廃棄物の減容化処理施設の受託事業はどの事業者が入札したのだろうか。

 

結果が表に出てこないので、気になる。

 

何故入札結果等の情報は一般に当然のように開示されることがなく、一般国民が強く情報取得の意思表示を行わないといけないものなのであろうか。

 

確かに何か予期せぬ事態が発生し、詳細を即時開示することができなくなった場合を想定すると、情報の統制は重要な点かもしれない。

 

しかし、これまでの一連の減容化施設での事故や地域住民とのトラブルの実態を鑑みると、行政としてはできる限り対外的に適切な情報開示をタイムリーに行うことが求められるのではないか。

 

 

具体的には、

 

なぜその事業者に事業を委託したのか

 

を明確にすべきだ。

 

総合評価方式に基づく技術提案書と入札価格の総合点で評価されることは理解しているが、その点数の結果や事業者選定における妥当性は関係者全員が納得することはないかもしれないが、地元住民の多くが納得できるような内容で公表すべきだと言える。

 

nofukushima2020.hatenablog.com

 

 

 

さて、11月25日(水)にこれまで工期が遅れていた飯館村蕨平対策地域内の減容化施設の「火入れ式」が行われた。

 

 

実に当初予定されていた、運転開始時期から平成26年度末から8カ月遅れている。また、現在の段階は「火入れ式」といった、実際の運転ではない。

 

 

 

実際の運転開始時期は12月の中旬ということで来週あたりには運転開始の報道があるのであろうか。

 

www.minpo.jp

 

 

 

さらっとこうした報道記事を流し読みしてはいけない。

下記の河北新報の記事を注意深く読んで頂きたい。

 

 

 

<仮設焼却施設>飯舘村外の指定廃も処理

 

12月中旬に稼働する仮設焼却施設

 東京電力福島第1原発事故で全村避難する福島県飯舘村の蕨平地区に、除染廃棄物などを減容化する仮設焼却施設が建設され、25日、現地で火入れ式があった。放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレルを超える指定廃棄物も村外から受け入れる初の施設。来月中旬に処理を始める。処理量は1日240トン。来年3月にフル稼働する予定。総事業費は約414億円。

 施設は村内の除染廃棄物や家屋の解体ごみに加え、福島市伊達市南相馬市、川俣町、国見町の5市町で発生した稲わらや堆肥などの農林業系廃棄物と下水汚泥を焼却。廃棄物の容積は5%程度に縮小される。

 環境省は当初、3年間で計21万トンの処理を想定した。除染が進んで対象物が36万トンに増えたため、2年間の契約延長に向けて村と調整している。

 火入れ式には関係者ら約100人が出席。菅野典雄村長は「6000人の村民を受け入れてもらっている周辺自治体の廃棄物も一緒に処理する。前向きに力を合わせて、村を再生させたい」と述べた。

 同村では、村内の家屋片付けごみなどを処理する仮設焼却施設が昨年8月、小宮地区に完成している。

 

 

www.kahoku.co.jp

 

 

どこに注目すべきかというと、

 

 

“来月中旬に処理を始める。”

 

2015年12月中旬に処理を始めるとのこと。

 

 

 

“処理量は1日240トン。”

 

処理量は1日240トンもあることがわかる。

 

 

 

“来年3月にフル稼働する予定。”

 

 

2016年3月にフル稼働することも分かった。

 

 

 

 

 

いやいや、これはいったいどういうことか。

 

 

環境省の発表資料に基づくと、飯館村蕨平の減容化処理施設の処理能力は、

 

処理能力:240トン/日(120トン×2炉)

 

上記の通り。

 

飯舘村蕨平地区仮設焼却施設の火入れ式について(お知らせ)[福島環境再生事務所]:環境省

 

 

 

その処理が実行されるのが来年の3月ということは、それまでは24時間運転を行わず、周辺住民に配慮でもするというのであろうか。

 

 

何かの引っ掛かりがあったため、同上URL内にある環境省の報道発表資料の「資料1:飯舘村蕨平地区対策地域内廃棄物等処理業務(減容化処理)」の図をよく見てみる。

 

すると、なんと、平成27年度3月まで現在の建設工事が続けられることになっている。

 

 

 

つまるところ、

 

飯館村蕨平の減容化施設は完成していない

 

のである。

 

 

火入れ式とは名ばかりで、

 

いや、見方によっては正しいのかもしれないが、

 

建設予定の2炉の内、1炉の完成に伴う「火入れ式」なのだ。

 

 

つまり、平成27年度3月( 2016年3月 )までは1炉で処理が行われるため、120トン/日の処理能力しか持たないことになる。

 

 

ということは「平成25年度飯舘村蕨平地区対策地域内廃棄物等処理業務(減容化処理)」の減容化施設の完成は当初予定よりも12ヶ月遅れることになるのだ。

※もしかしたら、年度をまたいで平成28年度に完成の可能性も十分に在り得る。

 

 

しばしばあることだが、行政側から情報発信に際して内容の規制や表現方法の指導があると、事実は伝えているのだが、どうしても真実を伝えることができないケースがある。

 

 

周知の事実かもしれないが、マスメディアの情報発信には限界がある。

 

 

ただし、国・行政は開示する情報に関して「嘘」はつけない。

 

 

報道内容そのものではなく、報道内容の情報ソースをしっかりと確認することで、真実を探ることが必要だ。

 

 

繰り返しにはなるが、

 

何のための減容化施設建設なのか

 

をしっかりと考えなおし、より安心・安全な運用を行うことを目指し、情報開示を進めていくことを期待したい。

 

 

 

さて果たして、2016年2月頃には2炉目の火入れ式の報道発表が出るのだろうか。